研究組織・メンバー

研究組織・メンバー

A01:キンカチョウ歌学習における意志による音声情報動態の制御メカニズムの解明

研究代表者
杉山(矢崎) 陽子
沖縄科学技術大学院大学(OIST)・准教授
WEBhttps://groups.oist.jp/nmcpu

紹介文本文

私達は日々耳にする無数の音の中から、どの様に特定の音だけを認識しているのだろうか?
ヒトの赤ちゃんが生後に親の声を聴いて言語を発達させるのと同様に、ソングバードの一種であるキンカチョウは、生後に聴く親の歌を模倣することで歌を学習する。ヒトもキンカチョウも親とのコミュニケーション介して聴く声を学習するが、この声をスピーカーから聴いても学習しない。これはヒトの赤ちゃんやキンカチョウヒナが聴く音声は社会的コミュニケーションの中で聴く時と、受動的に聞いている時では、その脳内の音声情報動態が異なり、コミュニケーションを介して聴く声や歌のみ学習モデルとして認知され、記憶が形成されるため、と考えられる。そこで本研究は「キンカチョウの歌学習をモデルとして用い、社会的コミュニケーションが聴覚情報動態を制御し、特定の情報のみを認知・学習する、その神経メカニズムを明らかにする」ことを目的とする。
私達の研究室ではこれまでの研究から、キンカチョウの高次聴覚野に親の歌の記憶が形成されること(Yanagihara & Yazaki-Sugiyama, 2106)、更にこの領域の神経細胞の聴覚応答は親の存在により変化すること(Yanagihara & Yazaki-Sugiyama, 2106)を明らかにしてきた。そこで本研究では、歌学習時の社会的コミュニケーション時の高次聴覚野の神経活動の動態を明らかにすることで、注意といった個体の内的状態による聴覚情報動態の制御メカニズム、さらに学習の制御メカニズムを明らかにすることを目指す。

文献

  1. Yanagihara S, Yazaki-Sugiyama Y (2018) Social interaction with a tutor modulates responsiveness of specific auditory neurons in juvenile zebra finches.
    Behav Proc 163: 32-36.
  2. Araki M, Bandi M M, Yazaki-Sugiyama Y (2016)
    Mind the Gap: Neural Coding of Species Identity in Birdsong Prosody.
    Science 354: 1282-1287.
  3. Yanagihara S, Yazaki-Sugiyama Y (2016)
    Auditory experience dependent cortical circuit shaping for memory formation in bird song learning.
    Nat Commun 7: 11946.

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