研究組織・メンバー

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A03:4つのsalienceの計算論的統合から見た妄想・幻視・幻聴のネットワーク病態

研究代表者
宮田 淳
京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座 精神医学教室・講師
WEBhttps://psychiatry.kuhp.kyoto-u.ac.jp/research-training/

研究協力者
岡田 知久 京都大学大学院医学研究科 脳機能総合研究センター・准教授
吉田 正俊 北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター・特任准教授
藤田 芳久 京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター・医員

紹介文本文

統合失調症では外的な刺激や内的な表象に対して過剰なsalience(重要と感じること、ハッと注意を惹きつけられること)を感じ取ってしまうことにより、妄想や幻聴などの症状が引き起こされると想定されています(異常Salience仮説:Kapur, 2003)。一方、このようなsalienceに関わる神経機構として、中脳-線条体のドーパミン神経、前部帯状回および島皮質からなるsalience network、視覚処理系、および聴覚処理系と、少なくとも4つの神経システムがあります。脳内に類似の性質を処理するシステムが4つも独立して存在するとは考えにくく、互いに協調しているか、同じ作動原理が働いているか、あるいはその両方である可能性があります。
本研究課題では、これら4つのsalienceシステムが、脳内で統合されて機能しているとする「統合salienceモデル」に基づき、統合失調症のネットワーク病態を明らかにすることを目的としています。

1) 機能的MRIデータを用いて、4つのsalience間の動的な結合性と、それらと妄想・幻視・幻聴とのかかわりを明らかにする。
2) 機能的MRIデータと拡散MRIデータを統合的に用い、4つのsalienceを説明する機能的・構造的モデルを明らかにする。
3) 4 つのsalienceを、Bayesモデルという単一の作動原理を用いて統一的に記述し、妄想・幻視・幻聴の計算論的バイオマーカー開発につなげる。

文献

  1. Miyata J (2019)
    Toward integrated understanding of salience in psychosis.
    Neurobiology of Disease 131: 104414.
  2. Mori Y, Miyata J, Isobe M, Son S, Yoshihara Y, Aso T, et al. (2018)
    Effect of phase-encoding direction on group analysis of resting-state functional  magnetic resonance imaging.
    Psychiatry Clin Neurosci 72(9): 683-91.
  3. Son S, Miyata J, Mori Y, Isobe M, Urayama S-I, Aso T, et al. (2017)
    Lateralization of intrinsic frontoparietal network connectivity and symptoms in schizophrenia.
    Psychiatry Res Neuroimaging 260: 23-8.
  4. Kubota M, Miyata J, Sasamoto A, Sugihara G, Yoshida H, Kawada R, et al. (2013) Thalamocortical disconnection in the orbitofrontal region associated with cortical thinning in schizophrenia.
    JAMA Psychiatry 70(1): 12-21.

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