研究組織・メンバー

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A01:シナプス内グルタミン酸受容体分布とシナプス伝達メタ可塑性の因果関係の検証

研究代表者
深澤 有吾
福井大学学術研究院 医学系研究科 脳形態機能学分野・教授
WEBhttps://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/brain/

紹介文本文

中枢神経系における速い情報処理を担う興奮性シナプス伝達はAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)により仲介されている。この興奮性シナプス伝達の伝達強度が変化する現象はシナプス可塑性現象と呼ばれ、学習・記憶の細胞レベルの素過程と考えられ、シナプス後膜上に発現するAMPARの「数」の変化がシナプス可塑性の直接的要因であることが明らかになっている。しかし、シナプス可塑性の起こりやすさ、即ちメタ可塑性(Abraham & Bear 1996)がどの様に制御され、AMPARの「数」を調節する仕組みとどの様に関係しているかは、殆ど明らかにされていない。
私は、膜分子の局在を電子顕微鏡レベルの空間分解能で定量的に可視化できるSDS凍結割断レプリカ標識法(SDS-FRL)を用いて、複数の興奮性シナプス結合のシナプス内AMPAR発現様式を明らかにするなかで、AMPARのシナプス内発現分布の様式が、シナプス結合種毎に均一型とモザイク型のどちらかに分けられることに気付いた(図参照)。さらに、モザイク型AMPAR発現様式を示すシナプスに長期増強現象を誘導すると、シナプス内AMPAR密度の一過性の増加が起こることなども見出した。これらの観察結果から、シナプス後膜上のAMPAR発現分布がシナプス可塑性とその調節機構であるメタ可塑性に密接に関係していると確信した。そこで本研究では、光遺伝学的操作や種々の薬理学的処置を駆使しながら、神経活動に応じたシナプス内AMPAR分布の変化を明らかにすることで、「AMPARのシナプス内発現密度を制御している機構がシナプスのメタ可塑性(可塑性発現能)の構造基盤であること」を単一シナプスレベルで証明し、その分子機構の実体と関連する神経修飾系を明らかにし、「脳の記憶機構の本質」に迫ることを目的とする。

文献

  1. Murata K, Kinoshita T, Ishikawa T, Kuroda K, Hoshi M, Fukazawa Y (2019)
    Region- and neuronal-subtype-specific expression of Na,K-ATPase alpha subunit isoforms in the mouse brain.
    J Comp Neurol. In press.
  2. Martin-Belmonte A, Aguado C, Alfaro-Ruiz R, Moreno-Martinez E A, de la Ossa L, Martinez-Hernandez J, Buisson A, Shigemoto R, Fukazawa Y, Luján R (2020)
    Density of GABAB receptors is reduced in granule cells of the hippocampus in a mouse model of Alzheimer´s disease.
    Int J Med Sci 21: 2459.
  3. Eguchi K, Velicky P, Hollergschwandtner E, Itakura M, Fukazawa Y, DanzlGeorg J,
    Shigemoto R (2020)
    Advantages of acute brain slices prepared at physiological temperature in
    characterization of synaptic functions.
    Front Cell Neurosci 14: 63.

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