研究組織・メンバー

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A03:巨視的脳構造結合を介した脳情報通信のシミュレーション解析と種間比較

研究代表者
福嶋 誠
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域・助教
WEBhttps://researchmap.jp/mfukushima

紹介文本文

脳神経科学分野ならびに非侵襲脳イメージング分野におけるデータ計測・解析技術の進歩によって、皮質領野間の巨視的脳構造結合を全脳にわたってマッピングできるようになりました。このことにより、脳構造結合全体のネットワークとしての性質が多数明らかにされるに至り、近年では、脳構造ネットワーク上のダイナミクスをシンプルな動的モデルを用いて記述し、脳構造結合を介した皮質領野間の情報通信ダイナミクスを明らかにしようとする研究も展開され始めています。しかしながら、実際に皮質の各領野で処理される情報が、一般にどのような経路選択戦略をベースとして領野間で通信されていると仮定すればよいのかについては、確固としたコンセンサスは得られていません。そこで本研究では、脳構造ネットワーク上の領野間情報通信のモデリングとシミュレーション解析を通して、脳内の情報はどのような経路選択戦略に基づいて脳構造ネットワーク上を進んでいくと考えることが妥当であるのかを数理的に明らかにすることを研究目的とします。具体的には、脳内の情報は大きなユニット(メッセージ)のままひとかたまりに送受信されるのではなく小さなユニット(パケット)に分かれて送受信されるというこれまでの実験的仮説のもと、パケット情報通信を脳構造ネットワーク上において効率的に実行することを可能にする経路選択戦略を探索し、実際の脳情報通信の実現に寄与している可能性の高い経路選択戦略を見つけ出します。ヒト・マカクザル双方の脳構造ネットワークデータを脳情報通信のシミュレーションに用い、得られる結果を種間で比較してそれらの共通点および相違点を整理することや、相違点についてはその要因を検証することにも取り組みます。

文献

  1. Fukushima M, Leibnitz K (2020)
    Simulating packet-based communication on brain structural networks.
    NetSci-X 2020: International School and Conference on Network Science, Contributed Session 1: Brain.
  2. Fukushima M, Sporns O (2018)
    Comparison of fluctuations in global network topology of modeled and empirical brain functional connectivity.
    PLOS Comput Biol 14: e1006497.
  3. Fukushima M, Betzel RF, He Y, van den Heuvel MP, Zuo XN, Sporns O (2018)
    Structure-function relationships during segregated and integrated network states of human brain functional connectivity.
    Brain Struct Funct 223: 1091-1106.
  4. Fukushima M, Betzel RF, He Y, de Reus MA, van den Heuvel MP, Zuo XN, Sporns O (2018)
    Fluctuations between high- and low-modularity topology in time-resolved functional connectivity.
    NeuroImage 180: 406-416.

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