研究組織・メンバー

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A01:味覚嗜好性の動的な並列情報処理の神経基盤の解明

研究代表者
相馬 祥吾
京都府立医科大学 大学院医学研究科 細胞生理学・助教
WEBhttps://www.tarunolab.com/

紹介文本文

本来、味に対する好き嫌いのパターン(味覚嗜好性)は、味覚システムの既定された神経回路により生得的に決まっている。しかし、これは永続的なものでなく、生後の経験や学習に依存して動的に変化する。例えば、ある食物を摂取後、内臓不調により不快に感じると、その食物を忌避するようになる。このような味覚嫌悪学習は、有害な物質を何度も摂取することで生存が脅かされないようにするための機能であり、食物の好き嫌いを形成する神経機構のモデルと考えられている。味覚嫌悪学習の成立には味覚神経回路の情報と内臓感覚神経回路の情報が扁桃体で統合されることが重要であるとされているが、その神経機序はいまだに未解明のままである。例えば、味覚嫌悪学習の獲得には、本来、快情動を誘発していた甘味が不快情動を誘発するようになるといったダイナミックな情報変換が必要である。これを実現するには、味覚中枢である脳幹の孤束核(NST)・結合腕傍核(PbN)、視床の内側腹側核(VPM)、大脳皮質一次味覚野である島皮質(GC)と扁桃体(CeAやBLA)との機能的結合が変化する必要がある。本研究では、多領域・多細胞同時記録などの先端技術を駆使して、生得的に発達する味覚神経回路の基盤を明確化した上で、味覚嫌悪学習により動的に変化する並列情報処理の神経基盤の全容解明を目指す。

文献

  1. Soma S, Yoshida J, Kato S, Takahashi Y, Nonomura S, Sugimura YK, Ríos A, Kawabata M, Kobayashi K, Kato F, Sakai Y, Isomura Y (2019)
    Ipsilateral-dominant control of limb movements in rodent posterior parietal cortex.
    J Neurosci 39: 485-502.
  2. Soma S, Saiki A, Yoshida J, Ríos A, Kawabata M, Sakai Y, Isomura Y (2017)
    Distinct laterality in forelimb-movement representations of rat primary and secondary motor cortical neurons with intratelencephalic and pyramidal tract projections.
    J Neurosci 37: 10904-10916.
  3. Soma S, Shimegi S, Suematsu N, Sato H (2013)
    Cholinergic modulation of response gain in the rat primary visual cortex.
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  4. Soma S, Shimegi S, Osaki H, Sato H (2012)
    Cholinergic modulation of response gain in the primary visual cortex of the macaque.
    J Neurophysiol 107: 283-291.

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