研究組織・メンバー

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A01:マルチモーダル入力を適応的行動出力に収斂する脳情報動態の解明

研究代表者
能瀬聡直・ 東京大学大学院新領域創成科学研究科・教授
WEBhttp://bio.phys.s.u-tokyo.ac.jp

紹介文本文

動物は時々刻々と変化する外界の状況を複数の感覚モダリティを通じて解釈することで適切な行動を決定し実行します。複数のモダリティにまたがった判断、行動選択がなされるには、異なった脳内経路を経由して処理される各モダリティの情報が脳内のどこかで統合される必要があります。本研究では脳全体を視野に入れた神経活動測定が可能で、かつコネクトミクス解析により回路構造を網羅的に同定できるショウジョウバエ幼虫をモデルとして用い、マルチモーダル感覚統合の脳情報動態を理解することを目指します。幼虫は頭部に侵害刺激を受けると後退運動により逃避します。この逃避行動は、2つのモダリティ、視覚(頭部への青色光の照射)および触覚(頭部への機械的刺激)によって誘起されます。私達はこれまでに視覚刺激、触覚刺激が後退運動を誘起する過程を制御するコマンドニューロンをそれぞれ同定し、特に触覚刺激受容から後退運動出力に至る回路構造を決定しています(Takagi et al., 2017)。本研究では単一細胞種を対象とした光操作、カルシウムイメージング、経シナプス回路可視化・操作、コネクトミクス等の先端技術を駆使することで、並列処理される2つのモダリティ由来の経路の合流点にあり、したがって統合に関わる可能性のある候補細胞とその回路構造を同定することを試みます。さらにこの回路内を神経活動がフローしていく過程を細胞レベルで解析することで、マルチモーダル入力が適応的行動出力に収斂する脳情報動態を明らかにしたいと願っています。

文献

  1. Takagi S, Cocanougher BT, Niki S, Miyamoto D, Kohsaka H, Kazama H, Fetter RD, Truman JW, Zlatic M, Cardona A, *Nose A. (2017) Divergent Connectivity of Homologous Command-like Neurons Mediates Segment-Specific Touch Responses in Drosophila. Neuron. 96(6): 1373-1387
  2. Matsunaga T, Kohsaka H, *Nose A. (2017) Gap junction-mediated signaling from motor neurons regulates motor generation in the central circuits of larval Drosophila. J Neurosci. 37: 2045-2060
  3. Fushiki A, Zwart M.F., Kohsaka H, Fetter R.D., *Cardona A, *Nose A. (2016) A circuit mechanism for the propagation of waves of muscle contraction in Drosophila. eLife. 10: 7554/eLife.13253
  4. Kohsaka H, Takasu E, Morimoto T and *Nose A. (2014) A Group of Segmental Premotor Interneurons Regulates the Speed of Axial Locomotion in Drosophila Larvae, Current Biology. 24: 2643-2651

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